半世紀にわたる店舗づくりのプロ。新たなる家具事業への挑戦 ―商品開発ストーリー編―

2023年4月、大西グループの中枢事業である株式会社店研創意から、初のD2C家具ブランド「ENEN(エネン)」が新規事業として立ち上がり、ローンチしました。
ローンチに至るまでのたくさんのストーリーから、2回にわたって「創設の背景」と「オリジナルのモジュラー家具の開発背景」をお届けします。
今回は、「家具の開発背景」を商品開発担当の梶川 裕介に聞きました。

「店研創意らしさ」を家具に置きかえる。
議論を重ね、誕生したモジュラー家具「KUUM(クーム)」

———モジュラー家具とは、そもそも何でしょうか?

梶川:
モジュラー家具とは、サイズや素材など、規格化されたパーツを共通化された組立て方で完成する家具のことで、“交換可能な構成要素(構成部品)”を意味する“モジュール”に由来しています。

———なぜ、ENENの代表家具は、モジュラー家具になったのでしょうか?

梶川:
 (株)店研創意の新規事業として立ち上がったのがENENなのですが、商品のコンセプトワークで、「“店研創意らしさ”を家具に置き換えるとなに?」という視点で考えました。意見を出し合う中で、店研創意の主力商品である店舗什器を家具に落とし込んだら面白いのではないか、という考えに辿り着きました。設置場所や陳列に応じてサイズや棚板数の増減が必要な什器のパーツは規格化(標準化)されていて、組み合わせてカスタマイズすることが簡単ですし、規格化されているとより効率的に生産できるので品質を保ちながらコストを抑えることもできるな、と。私たちのノウハウを最大限に活かすことができて、オリジナリティが出せる“モジュラー家具”がメインの開発商品として決まり、「KUUM(クーム)」が誕生しました。

———「KUUM(クーム)」のネーミング由来を教えてください。

梶川:
“パーツを組み合わせる”の「組む」です!
ENENのモジュラー家具は、「KUUM」シリーズとして展開しています。

———KUUMのポイントは何でしょうか?

梶川:
モジュラー家具特有の、パーツの組合せで完成する家具という点はもちろんなのですが、パーツの種類が豊富なので、オプションの選び方でテイストも変えることができるのはENEN独自だと思います。ENENでは、「Natural、Nordic Mix、Steel & Material、Modern」と4つのテイストをベースにデザイン・素材選びをしているので、例えば、テーブルの天板をそのままに脚部の素材を変えたり、ソファのファブリックのカラーを変えることで、異なったテイストにアレンジすることができます。テイストを超えて規格化されたモジュラー家具は他にはないと思います。組合せパターンは非常に豊富で、チェアは122通り、テーブルは300通り、ソファは260通りありますが、ECサイトや店舗の展示でお客様に楽しんで選んでもらえるように見せ方も工夫しています。



什器製作のプロだからこそ、大変だったこと、活きたこと。

———苦労したことや難しかったことは何でしょうか?

梶川:
商品開発において、まずデザインが出来上がるのですが、その”デザインを具体化する工程”、言い換えると、”デザインを優先しつつ、強度と品質を担保する仕様を考える”のに苦労しました。お客様が使いやすいよう軽量化をするにはどこを削るのか、お客様の組み立て労力と梱包サイズのバランスが良いパーツ化は?など、生産手段について検討したり、製造する工場と細部まで詰めるのが大変でしたね。私は什器製作に10年以上携わってきましたが、会社も、私自身も、家具づくりは初めてなので、何度も図面を起こし、試作品を作りました。組み替えや移動が多い店舗什器は家具以上の強度や耐久性が求められるのですが、同程度の基準で作っていても、最後の外部機関の耐久性検査でボロボロになって返ってきた試作品を見ながら仕様変更したり、ぎりぎりまで試行錯誤を重ねました。デザインフォルムを崩すことなく、全体のバランスを考慮した強度設計や機能的なモノづくりは、什器製作で培った腕の見せ所だったと思います。



“大変”を上回る“やりがい”。 知らないことを1から挑戦できる楽しさ

———什器づくりから家具づくりへのチェンジは、色々大変だったのではないでしょうか?

梶川:
大変な部分と、やりがいを感じた部分と両方ありますね。鉄材についてはそれなりに知識がありましたが、木材が主体になる家具において、木材の知識はまだまだ勉強中でしたので、品質・強度を担保できる仕様を考えるのは大変でした。でも、新たな知識習得の良い機会と捉え、楽しく取り組めました。長く什器づくりを担当してきましたが、学生時代は建築を学び、住宅や店舗の内装デザイン・設計の経験をしていて、家具への興味はずっとありました。什器と家具は似ているとは言われますが、全然違う分野なので、知らないことを1から挑戦できるというのが楽しいですし、やりたいことを提案できたので、やりがいが上回りました。 ENENローンチ後は、商品開発だけではなく、商品をどう魅せるかというプロモーションを含む販売計画など、未経験分野の業務に携わることも増えて日々勉強ではありますが、やりがいを感じています!



▼ENEN自由が丘店



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