半世紀にわたる店舗づくりのプロ。新たなる家具事業への挑戦 ―創設ストーリー編―

2023年4月、大西グループの中枢事業である株式会社店研創意から、初のD2C家具ブランド「ENEN(エネン)」が新規事業として立ち上がり、ローンチしました。
ローンチに至るまでのたくさんのストーリーから、2回にわたって「創設の背景」と「オリジナルのモジュラー家具の開発背景」をお届けします。
今回は、「創設の背景」をENEN事業責任者の多賀橋光司に聞きました。

はじまりは、既存事業のさらなる成長を求めて。プロジェクトから事業化へ

———家具ブランド「ENEN」は、どのようにして始まりましたか?

多賀橋:
2020年2月、最初は㈱店研創意のプロジェクトとして、流通業界の目まぐるしい市場変化に対し、「既存事業をどう成長させるか?」というテーマのもと、スタートしました。約50年にわたる店舗の設計施工と什器備品の企画製造販売のノウハウや経営資源を活かして何ができるか、風呂敷を広げてみんなで話し合ったのが始まりでした。
家具・小家具のOEMやリノベーション業のクライアントワークなどの実績はあったので、「家具」という方向性は当初からありましたが、法人を対象とした空間プロデュースのコントラクト事業(toB)なのか、ほぼ未経験領域の住宅用家具事業(toC)なのか、メンバーの中でも意見が分かれました。結果的に約1年半かけて、調査と議論を重ね、店研創意初のD2Cを軸とした家具事業に挑戦することが決定しましたね。その後、コンセプト固め、商品開発、システム整備など事業化に関わる多くのステップを踏み、トータルで約3年の月日を経て新規事業として「ENEN」をローンチすることが出来ました。



通用するはずがないと思いながらも、探った可能性。「いける!」の挑戦マインド

———1年半の検討の結果、「家具事業」となった決め手は何だったのでしょうか?

多賀橋:
何か一つの決め手があったわけではないですね。ずっと店舗づくりを行ってきたので、コントラクト事業であれば素地があり、成長展開も想定しやすい面がありました。一方、一般消費者向けの家具は、商品開発・ブランド構築・プロモーションなどあらゆる面で未経験ですし、「什器屋さんが家具…?通用するはずがない」という意見もありました。正直、半信半疑で可能性を探っていたところ、家具市場は価格帯の二極化が進行し、また、半数近い人が家具へのこだわりが低いというアンケート結果などもあり、「値ごろで上質な家具」という新たな市場づくりと、無関心層の掘り起こしが期待できると考えました。
まだまだ発展の余地がある家具市場に対し、店研創意の「什器づくりで培った商品開発ノウハウ、国内外の生産体制、全国での物流網」が強みとして活きる、と確信が持てました。度重なる議論、揺り戻しがある中、専門性に長けた社外のパートナーとの出会いに恵まれ、また、メンバーの挑戦したいという想いも膨らみ、すべてのプロセスがあって、「いける!」となりました。材料、デザインにこだわった高品質で値ごろな価格のプロダクト開発と、私たちなりの創意工夫を凝らした購入体験を提供することで、新たなマーケットを開拓できると信じています。



「家具選びのNEW BASIC」 暮らしに寄り添い、家具選びの新定番を提供したい。

———ブランドローンチを経て、今の率直な想いを聞かせてください。

多賀橋:
5月20日に東京・自由が丘に1号店をオープンした、その初日のことでした。お昼にご入店された時にご案内させていただき、お店を後にされたお客様がいらっしゃいました。夕方に戻ってきてくださって、ソファをお買い上げいただきました。家具探しのため、家具屋さんが集積する自由が丘にお越しになり、たまたま通りかかってENENに立ち寄られたそうです。たくさん比較検討されたと思うのですが、商品コンセプトやモノづくりの背景などENENブランドについて、しっかりお伝えし共感いただけたことで、選んでいただけたと実感しましたし、手応えを感じました。

ブランドビジョンである「家具で生活を楽しくする」の実現に向けて、従来の家具事業の踏襲ではない「家具選びのNEW BASIC」を提供できるよう頑張っていきたいです。
背景には、家具にまつわるお困りごととして、「実物を見ずに購入した家具で失敗した」「自分の部屋や、すでにある家具と馴染まない」「コーディネートが分からない」「捨てるのも面倒で、妥協しながら使っている」などのお声があり、また、困るほどではないけれど家具を満喫できていない方もたくさんいらっしゃることが分かりました。
家具選びから家具のメンテナンスも含めて、生活が楽しくなる家具・長く使い続けたくなる家具を提供し、日本の暮らしをよくしていきたい、と思っています。



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